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東京地方裁判所 平成元年(特わ)398号 判決

本籍

東京都新宿区大京町二〇番地

住居

東京都練馬区向山四丁目三三番七号

会社役員

春日順一

昭和三一年一二月一五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中島鈆三出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都練馬区栄町三九番七号(昭和六三年三月三一日以降は、同都練馬区向山四丁目三三番七号)に居住し、同都練馬区桜台四丁目二番九号ほか六か所に店舗を設置(その後店舗を一部譲渡)して貸ビデオ業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、それにより蓄えた預金利子を除外する等の方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六一年分の実際総所得金額が一億〇七五九万三四九六円あった(別紙1修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六二年三月二日、東京都練馬区栄町二三番七号所在の所轄練馬税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分のみなし法人所得金額が一三九〇万三〇〇〇円、総所得金額が一二五七万〇六八〇円であり、これらに対する所得税額は六三四万二六〇〇円である(但し、事業主報酬に対する源泉徴収税額三九万一三二〇円控除後の申告納税額五九五万一二〇〇円)旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第四一七号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額六二一九万〇五〇〇円と右申告税額との差額五五八四万七九〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六二年分の実際総所得金額が七九五四万二九八七円あった(別紙3修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六三年三月一一日、前記練馬税務署において、同税務署長に対し、昭和六二年分のみなし法人所得金額が九五万五〇〇〇円、総所得金額が八八五万八五〇〇円であり、これらに対する所得税額は一〇五万三五〇〇円である(但し、事業主報酬に対する源泉徴収税額一一五万〇七九〇円控除後の申告納税額九万七二八〇円の還付となる)旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第四一七号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同年分の正規の所得税額三九〇四万二二〇〇円と右申告税額との差額三七九八万八七〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  春日裕子の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の売上、仕入、租税公課、水道光熱費、通信費、広告宣伝費、損害保険料、修繕費、消耗品費、減価償却費、福利厚生費、利子割引料、地代家賃、諸会費、保証金償却費、著作権使用料、燃料費、支払手数料、雑費、青色専従者給与、事業専従者控除、事業主報酬、みなし法人所得、利子収入、配当収入、給与収入、給与所得控除、給付補てん金の調査書

一  大蔵事務官作成の証明書

一  検察事務官作成の捜査報告書

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の接待交際費の調査書

一  押収してある昭和六一年分の所得税確定申告書一袋(平成元年押第四一七号の1)、所得税青色申告決算書一袋(同号の3)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の車両費の調査書

一  押収してある昭和六二年分の所得税確定申告書一袋(平成元年押第四一七号の2)、所得税青色申告決算書一袋(同号の4)

(法令の適用)

罰条 各所得税法二三八条一項、二項

刑種の選択 各懲役刑と罰金刑の併科

併合加重 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

執行猶予 刑法二五条一項(懲役刑につき)

訴訟費用 刑事訴訟法一八条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 懲役一年及び罰金三〇〇〇万円)

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

春日順一

自 昭和61年1月1日

至 昭和61年12月31日

〈省略〉

別紙2

脱税額計算書

昭和61年分 春日順一

〈省略〉

別紙3

修正損益計算書

春日順一

自 昭和62年1月1日

至 昭和62年12月31日

〈省略〉

別紙4

脱税額計算書

昭和62年分 春日順一

〈省略〉

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